それは、新年早々いきなりのことだった…

正月ボケがまだ十分に抜けきっていない仕事始めの1月5日のことである。
朝、出社した私のパソコンキーボード上におかれていた1枚のメモ。そこにはこう書かれていたのであった──「スポコンvsラブコメ」。

お屠蘇気分を吹き飛ばす、衝撃のカウンターパンチである。文字は確かに鎌田店長のもの。休暇中に一度出社するとは聞いていたが、これはいったい何の暗号なのだろうか? どう考えても仕事に関係があるとは思えない。しかし私に何かを伝えようとしていることは、キーボードのキーの隙間に紙を立てるという、こってりめの決意と主張を感じさせるメモの置き方からも明白だ。

正月早々、どうしても伝えたかった「スポコンvsラブコメ」とはいったいなんなのだろうか? そもそも、なぜスポコンとラブコメが戦う必要があるのか? スポコンはスポコン、ラブコメはラブコメでいいではないか? などというようなことを考えていると、鎌田店長がやってきた。

私は新年の挨拶もそこそこに、さっそくこのメモの真意を問うてみることにした。

「店長、このメモなんすか?」
「あーそれね、今度はそれでいくから」
「いくって、どこにいくんですか? マンガ喫茶でもはじめるんですか?」
「なにをいってるのかね! アルパイン対カロッツェリアの東京対決だよ! 今度のテーマはそれだから。あー、出発は明日ね。東横インとっといて」
「なんなんですかそれは! 東京対決やるってのはわかってたけど、何でそんな急なんですか! それに今から部屋とれるかどうかなんてわからないじゃないですか! だいたいコースは考えてあるんですか! テスト用のナビはどうするんですか! それにそもそもなんでスポコンvsラブコメなんですか!」
「あーもう、ごちゃごちゃうるさいなー、まあ行けばなんとかなるって。ナビの手配はしてあるし、コースも考えてるから。フフフ…」

と、いいかげんなんだか手配がいいんだかわからない鎌田店長なのだが、それにしても「スポコンVSラブコメ」だ。何を企んでるのかしらんが、まったく原稿を書く人間の身になってみろ!

しかし怒ったところで仕方がない。あわてて宿をネット予約し、とりもなおさず4日分の着替えをまとめて、妻子に別れを告げ、翌日私は東京へと出発した。

ナビ男くん編集部初となる東京実走テストは、こうして波乱と謎に満ちたなかではじまったのであった…。

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