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PROJECT M
2003年12月
「儲かりそう…」「大変そう…」「オレがやるんか…」──胸に去来する思いは、それぞれに。
「なぜこんなにも、魅力的な製品がないんだ!」
“ナビ男くん”をプロデュースするアイテル株式会社のトップ、永田尚はいらだっていた。カーナビに続くモービルメディア事業の柱にと着目したリアモニター。しかし、集められた各社の製品は、いずれも取り付けがあまりに無骨であったり、高額すぎたり、あるいはデザインが洗練されていないといった問題を抱えていた。
自分がほしいと思わないものを、お客様が求めるわけがない──
それは永田の確信であった。
そして、ないのであればつくるしかない。
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高い評価を得ているオリジナルプロダクツのひとつ、「E46ユニット」。ナビ取り付けにここまでこだわった技術陣がまたもや限界に挑戦! しかし期間が短い。
“ナビ男くん”にはこれまでカーナビの専用金具をはじめ、数々のオリジナル・プロダクツを開発してきた実績がある。しかし、これまでの製品群とはスケールが違う。永田は自問自答した。賭けではあるが、自分たちが思うものができれば、新しいマーケットを創造できるだろう。
目標とされたハードルは極めて高いものであった。「高品質7型モニターを使用し、前席2つのヘッドレストに埋め込み加工。自動車メーカー純正ナビにも接続できるもの。価格は10万円以内。半年以内に商品化!」
そして、「プロジェクトM」は動き出した。
開発の中心となったのは技術部において企画・開発を担当する村田康修係長である。永田から話を聞いたとき、村田は「これは大変な役がまわってきたぞ」と思ったという。
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村田:「もう『ありえへん!』と思いましたね。
市販の7型モニターが定価でひとつ5万円ぐらいですから。
2つつけて金具や工賃を入れたらすぐに10万円なんて超えてしまいますよ。
それを手のかかるヘッドレスト埋め込み加工ですから。
えらいことを引き受けたなと…」
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PROJECT M
「悪魔のシワ」との戦い。
アメリカでは埋め込み型リアモニターが大ブレイク中。とにかく今年のCES出展はモニターだらけ。
年が明けた2004年。永田はラスベガスで開催されていたCES(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)会場にいた。この世界最大の電気製品見本市を訪れた目的は、もちろんリアモニターである。
以前ほどの極端な差はなくなったとはいえ、まだまだアメリカは自動車カルチャーにおいて日本の先を行く国だ。そしてCES会場には、リアモニターどころかあらゆるスペースにモニターを設置した“マルチモニター”とでもいうべきデモカーであふれかえっていた。
新たなムーヴメントを自らの目で確かめられたことに加え、いくつかの海外モニターメーカーからのアプローチもあり、永田は確かな手応えを感じて帰国の途についたのであった。
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なかなか思い通りの試作品があがらず、苛立つ技術陣。しかし、直接関係のない浜野は、実はあまり気にしていないのであった。
一方、日本では村田たちが苦しんでいた。思うようにモニターの埋め込み加工ができないのである。埋め込み施工をおこなっているショップにもいくつか依頼してみたが、まず納得できる水準で仕上がってこない。
カバーを強引に内部に折り込むせいか、どこかに妙なシワがあったり、ヘッドレスト全体に張りがなくなったりするのである。
村田たちスタッフは、これを「悪魔のシワ」と呼んだ。
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村田:「そこで発想を変えてみたんですよ。
これはむしろインテリアの仕事じゃないかってね。
そこで家庭用高級ソファーの革張りなどを手がけるインテリアのプロフェッショナル会社に話をしてみたんです」
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インテリア関連の会社の協力を得て、やっと満足のいく仕上がりに。「ハァ、これで社長に見せられる」
狙いは、あたった。
仕上がってきたヘッドレストには、「悪魔のシワ」は見あたらなかった。
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